![]() 福永:病院経営の話が出てきたので、アメリカでは営利目的の病院が15%あると伺ったのですが、営利、非営利の違いは具体的に何で区切られているものなのでしょうか?
喜吉:営利も非営利団体も利益を生み出すことが必要ですね。差は、その利益をどう利用するかです。非営利は自己投資、非営利団体は利益を必ず自己投資しなくてはなりません。一方で営利会社はその利益を投資家に分配するので、団体外部に出て行くわけです。 福永:株式会社もあると聞ききました。
喜吉:株式会社かどうかは病院にもよりますが、病院に対しての何らかの経済的なメリットを求めて関わっている人たちがいます。病院はその投資家たちを満足させるような運営をしていきます。あと、税金の待遇もやっぱり違っていて、非営利は税金の率が一般に低いと言われています。
福永:やはり営利目的の病院の方が、高度な医療とか一部の富裕層のための医療ができるのでしょうか?自分にはそういうイメージがありますが。
喜吉:多分両方のデータがあって、まずナーシングホームや養護老人ホームみたいなところは、営利目的のほうが質の低いケアを提供しているという結果をよく見ます。だから営利目的のあまり、人員を削減したり、ちゃんとしたケアを省いたりしているわけですね。病院では明らかなデータは無いようです。私の同期もそういった研究をしていて、営利・非営利でどれだけ最終的なアウトカムが違うのかを今見ていますけど、まだはっきりしていません。でも、医療の高度さもあまり一概には言えないと思います。たとえば非営利のUCSFは有名な医者や科学者が多くて、先進的なこともしています。今日午前中に行ったSFGHもHIVとかの治療は進んでいるし、トラウマ(急性外傷)のことも専門的にやっているし、熱傷専門のICUもあるわけです。
福永:今ちょっとだけナーシングホームの話が出ていましたが、介護のことについても伺いたいと思います。僕は介護についてあまり詳しくないので、高山さんにお願いしたいと思います。
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高山:いくつか質問があるのでお願いします。まずは、UCSFには男性の看護師も多く働いていると伺いました。日本では重度脳障害を持った方の施設だと、どうしても大変だから異性介護になってしまいがちですけれども、サンフランシスコでは同性介護は大切にされているのでしょうか?
喜吉:それは、全く大切にされていないと思います。逆に同性だからというのは差別に取られるのではないでしょうか。男性であれ女性であれ担当が決まって、もし患者さんに強い希望があって男性がいいということがあれば変わることはありますが、基本的に全くそういうのはないですね。
高山:病室を見学したときに、トイレがあったのですが、どの部屋にもトイレは付いているのですか?オムツとか使うことはないのですか?
喜吉:トイレはどの部屋にも着いていますが、オムツも必要な人には使います。 でもそれも女性でも男性でも関係なくしますね。そのようなことを言っている余裕がないというか、男性の患者さんでも排泄のケアをしなければいけないときに女性のスタッフしかいなければ、もうそれしかできないですから。まあ、ゆとりがあればいいのかもしれないし、患者さんからの強い希望があれば対応するようにはします。でも今まで働いていて、全くそういった希望は聞いたことが無いですね。そういう性に関する介入が必要な場合は、聞いた事があるのは、例えば乳がんの健診で触診をしなくてはならないときに、男性の医師であればなるべく女性の事務員であれ看護師であれ、誰かが同室にいるようにする、というのは聞いた事がありますね。 高山:介護の技術は日本と比べてサンフランシスコはどうですか?日本の病院のベッドはキャッチアップ機能が手動な場合もありますけど、UCSFで見学したお部屋は全部電動でしたね。
喜吉:UCSFは設備的にはすごく働く人に優しいと思いますね。負担がかからないメカニクス。ベッドが電動であることで、ボタン一つでベッドの位置を腰に負担が掛からない高さにすぐすることができるので、それはすごく役に立ちますよね。採血であれ何であれ、なるべく変な位置に腰をおかないように気をつけます。でも個人のスキルとか介護の内容はあまり変わらないのではないかなと思います。環境によりますね。お手洗いの場がすぐ近くにあるから手洗いの回数が多くなるとか、そういったことはありますけど。あとは人員配置ですね。アメリカの方が全体的に、受け持ちの患者数が少ないようです。看護助手がかなり活発に活用されているので、介護に関わることは助手がやることが多いですね。だから手が多くあるので、もうちょっと関わりやすいというか、すばやく対応ができたりするのかもしれない。でもそれは病院によるかもしれないですけどね。
大瀧:日本だと介助者の力でそのまま無理やり起き上がらせようとする人もまだいるみたいですけれど、ちゃんとベッドを動かして体を保って起き上がらせるのですか?
喜吉:それは患者さんの負担になるし、介護者の負担にもなるので、なるべく負担にならないように、そういう道具で解決できるものであれば、結構取り入れている感じがしますね。
高山:ベッドから車椅子に移動するときはリフトとか使うのですか?
喜吉:普通にやっぱり体格が大きい人が多いので、機械式のリフトとかないと対応しきれない。そしてリフトチームというのがいて、それは国家資格ではないのですけれど、力持ちの男性達が呼ぶとやってきて移動を手伝ってくれるわけですね。 福永:その人たちはそれ専門で待機しているのですか。 喜吉:それ専門です。あとトランスファーチームっていうのがあって、日本にいるとき患者さんが病棟外に検査にいくときに、看護師が押していく場合が多かったですけど、こちらではトランスファーの人たちが移送してくれるので、看護師は病棟を離れなくてすみます。他の患者さんのケアに当たることができるで、そういったところはすごく便利ですね。 |