株式会社メディカル・コンシェルジュでは毎年内定者の中から希望を募って海外研修を行っております。今年度はサンフランシスコに参りました。アメリカの医療事情を詳しく見ていくことで日本の医療もよりはっきりと見えてきました。今回、アメリカの病院や医療関連施設を見学していく中で様々な疑問が浮かんできましたが、現地では当社ブログ「アメリカからの便り」でもおなじみの喜吉紘子さんに色々と教えて頂く貴重な機会を得ることができました。
喜吉紘子さんは現在(2008年10月)カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)博士課程で看護管理学の研究をされており、またUCSF大学病院治験病棟にて看護師としてご活躍されています。また、株式会社メディカル・コンシェルジュのアドバイザリー・ナースとしても御指導をいただいております。 今回のインタビューでは、アメリカ医療界の現場を、日米の比較という視点からわかりやすく解説して頂きました。 ![]() 福永:最初に、日米の文化・習慣の違いから伺いたいと思います。昨日も土足で病院のベッドにあがる人がいたなど、いくつかのエピソードを伺いました。喜吉さんは10歳から14歳までアメリカにいらっしゃったので、おそらく日常生活ではそう驚くことはなかったと思います。それでも、医療の面では日本とアメリカで文化・習慣が違うと感じることがあったのではないでしょうか?
喜吉:驚くというより、あっそういうものか、と理解するしかないですね。清潔不潔の感覚がまるで違って、土足もそうですけど尿器なんかを食事用のテーブルに置いたり、日本だったら尿器は必ず布をかけて見えなくして移送するのに、そのままポンとテーブルの上に置いたりするので、そういうのはちょっとびっくりしましたね。
福永:そういう文化にはすぐ慣れることが出来ましたか? 喜吉:そうですね。そんなところでオドオドしていたらっていう(笑)もっと大きなところでのびっくりが一杯あるので。 福永:患者の方も多国籍な方が多いようですね。中には驚かれる方もおられるのではないですか? ![]()
喜吉:そうだと思います。患者さんからするとアジア、特に日本でトレーニングを受けた看護師はとても気配りがきくということですごい評価がいいですよ。日本のナースには、私もそうですけれど言葉が十分にできない中、アメリカで働くのは気が引けると考える人が多いです。でも、そういう気配りという意味でプラスアルファに提供できているものがあるので、いいかなと思います。
福永:医療と離れてしまうかもしれないのですが、私達がこちらの文化・習慣で一番驚いたのは、アメリカ人の食事の量ですよね(笑)。これだけ食べていれば、太って不健康になっても仕方ないと正直思いました。アメリカの皆さんは食事に気を使うことはあるのですか?
喜吉:私は使いますね。やっぱり意識的に気をつけないと環境的に不健康な生活になりやすいです。日本はTV番組とかコマーシャルを見ていてもすごく健康意識が高い国ですよね。おもいっきりTVなんかが人気だというのも凄いことで、そこで黒ゴマが取り上げられたらスーパーで売り切れる、というのがアメリカでは考えられないことです。
一部の人で、極端な健康志向の人は、菜食主義だったりする人もいるけど、まったくそういった知識がない人も多いです。家庭科の授業を、日本では小学校・中学校で受けていると思いますけど、そこで得た知識はすごく大きいみたいです。食品には※4つの栄養グループがあってとか、最低限知らないとバランスよく食べることもできないですよね。
アメリカでは家庭科の授業とかあまり無いし、あったとしても選択なので、十分な栄養の知識が欠けています。だからそういう基礎的なところからアプローチしなきゃいけないと思います。学校給食でいうと、日本だと本当にバランスを考えて献立が出来ています。でも、こちらはとにかく簡単で安上がりの食事が提供されている感じです。学校内でスナック菓子の販売機があったり、炭酸、コーラとかの自販機があったりして、すぐそういう食事に走ってしまう。そして人の嗜好というのは子供のときに形成されるので、若いときからコーラばかり飲んでポテトチップスばかり食べていたら、大人になってもそういう習慣が消えません。食べる量だけじゃなくて、食べる内容も偏っていると思いますね。
![]() 福永:病院には栄養士もいらっしゃると昨日伺いましたが、日本の栄養士とはちょっと違う働きが必要になってくるということですか?もっと基本的なところから教育しなければいけないとか。すると各病院においても栄養士を日本以上に必要としているということでしょうか?
喜吉:いつ栄養指導がされるかっていうと、だいたいは退院するときです。糖尿病とか食事管理が必要な人がいれば、そこで栄養指導が入ります。なかなか肥満でクリニックに来て栄養指導というのはありませんね。予防という意味ではなかなか必要とされにくいかもしれません。 ※: 日本では5大栄養グループの分け方が一般的だが、アメリカではMeat(肉)、 Carbohydrate(炭水化物)、 Dairy(乳製品),
Vegetable(野菜)の分け方が一般的。
|